12月22日、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が、皇族数の減少への対応策の最終報告書をまとめた。その中では「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の二つが示されているが、現実的にはハードルがいくつもある。そこで私は英国王室の徹底した維持の備えも参考にすべきだと考える。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
世界と比較しても日本の皇室維持は不安定
2021年3月から、複数回にわたって、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が開かれてきた。その最終報告書には、皇族数確保のため「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の、2案がまとめられた。
現在、皇位継承権を持つのは、秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男の悠仁さま、常陸宮さまの3人だ。しかし、常陸宮さまは現在86歳である。実質的に皇位継承権者は、秋篠宮家の2人だけで、皇統の維持は、きわめて不安定な状況にあるのは間違いない。
世界中のさまざまな王室にとっても、王位継承のための血統維持は最重要事項であり、さまざまな王位継承の方法が取られてきた。それら諸外国と比較しても、日本の皇統は、不安定な状況にあるといえる。
諸外国の中でも特筆すべき王位継承の方法として参考になるのは、日本とある意味、正反対といっていい王族の血統維持の方法を取ってきた英国である。