総選挙での惨敗により辞任した枝野幸男代表の後任を選ぶ、立憲民主党の代表選挙が本日(11月30日)に投開票される。逢坂誠二元首相大臣補佐官、小川淳也国会対策副委員長、泉健太政務調査会長、西村智奈美元厚生労働副大臣が立候補しているが、正直、まったく関心がない。誰が代表になろうと、立憲民主党に将来の展望はないからだ。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
立憲民主・代表候補者の致命的な知名度
共産党との「野党共闘」の是非に、候補者4氏とも明確な考えを述べず、歯切れが悪い。政策についても、うまくアピールできていない。
一方、岸田文雄政権は「新しい資本主義」を打ち出して、大きく左に張り出している(本連載第288回・p5)。それに対して、4氏とも自民党との差異をはっきりと打ち出せず、非常に苦心している。
深刻なのは、政治に詳しい人を除いて、おそらく多くの国民にとって、4氏とも「この人、誰?」という程度の知名度しかないことだ。自民党が、幹部から若手まで多士済々、キャラが立ち、国民によく知られた政治家を多数擁しているのと対照的で、残念なことである。
立憲民主党にも国民によく知られた人材はいる。野田佳彦元首相、岡田克也元副総理、玄葉光一郎元外相、安住淳元財務相、蓮舫元民進党代表などだ。だが、彼らは「旧民主党政権のイメージ」だから代表選に出られないという。おかしな話である。
彼らは「旧世代」だというかもしれない。しかし、第2次安倍晋三政権以降の自民党の主要メンバーと世代的には同じである。第一線を引退するのはまだ早い。また、安倍政権は、「第1次安倍政権」の失敗から学んで、史上最長の長期政権を築いた(第101回)。野党側も、失敗から学べばいいことだ。
権威主義など他の政治体制にはない、「自由民主主義」の長所は、「間違いさえもオープンにすることで、そこから学び、改めることができること」である(第218回)。実際、自民党はそれを実践し、政権を奪還した。
だが、日本の左派野党には、それはできないようだ。旧民主党政権の幹部だった政治家は、まるで間違いを犯した者のように排除された。そもそも、党名まで変えて旧民主党をなかったことにしている。残った人たちは、自分たちが間違えたのではないという態度だ。