12月19日、香港で立法会(議会)選挙が実施された。「国家安全維持法」を強行採択、選挙制度の見直しを経て、行われた初めての選挙では、香港が“北京化”する現状が浮き彫りになった。全議席が実質親中派で埋まり、民主派は姿を消した。中国共産党指導部の支配が強まる中、国際金融センターとしての性格を持つ香港は今後どうなっていくのだろうか。
中国の支配強まる香港
影響が如実に表れた立法会選挙
12月19日、香港で立法会(議会)選挙が実施された。2019年の「逃亡犯条例」改正案を引き金に、反中抗議デモが大々的に展開され、中国共産党指導部が「国家安全維持法」を強行採択、選挙制度の見直しを経て、初めて行われた選挙である。
本連載でも、香港におけるデモの現場、党指導部の対香港政策、そしてその過程で香港政治が“北京化”していくプロセスについては度々議論してきた。これら一連の動きを経て、初めて実施されたのが今回の選挙であり、それを検証することは、香港の現在地を確認し、先行きを見通すことにつながる。
まず、今回の選挙を検証する上で重要なのが、香港に対して「全面的管轄権」を行使すると公式に明言してきた習近平政権が、昨年の国家安全維持法採択と、今年の選挙制度の見直しを通じて、香港政治をめぐる新常態(ニューノーマル)を作ろうとし、実際にそうなっている現実である。
習近平は、一連の反中デモの勃発をむしろ利用する形で、香港政治を完全にグリップしようとしてきた。国家安全維持法を強行採択することで、香港の地で国家の主権や安全を脅かす活動は一切容認しないこと、選挙制度を見直すことで、香港の統治機構が反中国・反共産党の場と化すのを容認しないことの2点を実現しようとした。
その実現を立証したのが、今回の立法会選挙にほかならない。