自民党安倍派の政治資金パーティーで言葉を交わす元首相の安倍晋三(手前)と政調会長の高市早苗(右)。高市の横やりや強気の発言は、安倍派の拡大路線の一環という見方も出ている自民党安倍派の政治資金パーティーで言葉を交わす元首相の安倍晋三(手前)と政調会長の高市早苗(右)。高市の横やりや強気の発言は、安倍派の拡大路線の一環という見方も出ている Photo:JIJI

 2021年12月9日の衆議院本会議場。9月17日に74歳で死去した当時の竹下派会長、竹下亘の追悼演説が行われた。議場2階の傍聴席で息子、実弟ら遺族が演説に聞き入った。追悼演説で竹下を送ったのは、初当選同期の自民党組織運動本部長の小渕優子だった。

「島根に生まれ、島根に育ち、やがて島根の土となる」。小渕はかつて元参院議員会長の青木幹雄が元首相の竹下登を追悼したのと同じフレーズで演説を締めくくると、本会議場は静まり返った。

 その竹下亘が残した政治的遺言の一つに自民党の道路調査会の会長人事があった。かつて道路調査会長には金丸信や古賀誠ら党内の実力者が就任し、国の道路行政に絶大な影響力を持っていた。往年のパワーはなくなったとはいえ、なお影響力は無視できない。

 竹下は自らの後任会長に幹事長代行の梶山弘志を指名するよう自民党の“道路族議員”に伝えていた。そこに政調会長の高市早苗から横やりが入った。