「安さ」が関西制覇のキーワード
ロピアが関西進出の成功例

 オーケーの二宮涼太郎社長は、H2Oに敗北後も関西進出に意欲を燃やし、「次の機会」を探すという趣旨の発言をしている。よほど悔しかっただけではなく、関西進出に“勝算”があったこともこの言葉からうかがえる。

 勝算の根拠は、どこにあるのか。それは「安さ」への自信だろう。

 オーケーの戦略の中心は、「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)戦略」。直訳すれば、「毎日低価格」で、いつ買っても安いという意味。

 包装を簡素化して、その分価格を安くしている。また、例えば、卵の価格は通常、大きさで決まるが、選別の作業を省き、大小混合とすることで安く売られている。

 とにかくオーケーには安く売る仕掛け、安く売れる仕組みがある。それゆえ、経済観念が進んでいる関西人がオーケーを受け入れない“はずがない”。

 すでに成功例はある。それが、関東地盤のスーパー「ロピア」だ。関東から関西へ出ていくこと自体、冒険だが関西進出からわずか1年で、あっという間に7店舗も出店した。

 ロピアはオーケーと同じディスカウント型のスーパーマーケット。オーケーと同じく、とにかく安い。ロピアが瞬く間に、関西に基盤を築いたのだから、ディスカウント型のスーパーマーケットが進出する土壌が関西にあるともいえる。

 やはり「安い」というキーワードが、関西でも通用するということをロピアが証明したし、目の肥えている関西人をうならせたのも事実。オーケーの関西進出での勝算もここにあるのだ。

オーケー関西進出の日は近い
「関西の味」をそろえられるかがカギ

 オーケーが関西市場に再挑戦するのは時間の問題とみられる。たしかに、H2Oとの関西スーパー争奪戦で敗れたものの、決して損はしていないし、関西圏での知名度アップにも成功。争奪戦は無駄ではなかった。

 対して、H2Oとの統合を選んだ関西スーパーの先行きには苦難が待ち受けている。業績が振るわず、H2Oとのシナジーも生み出されなければ、「オーケーと統合すべきだった」と非難の声が上がるのは明らかだからだ。

 もちろん、安さが強みのオーケーにも“死角”はある。

 コンビニがおでんのつゆを、関東向けには、しょう油の味を濃くし、関西向けには、だしの味を強くしているように、その“地域に合わせた商材”を提供できるかもポイントとなる。衣料品なら、全国での嗜好(しこう)差はないだろうが、食品はやはり違う。

 嗜好の壁を超えて、関西人の味覚にあった商品をそろえられるか否かが、オーケーの命運を握るのだ。