大塚篤司/医師・医学博士大塚篤司/医師・医学博士

 まず、みなさんご存じの通りマスクには主に三つの種類があります。不織布マスク、布マスク、ウレタンマスクです。感染拡大予防の観点から不織布マスクの着用が推奨されています。ただ、使用感や皮膚への刺激からウレタンマスクを好んで使用する人も多いと思います。ウレタンマスクは、呼吸のしやすさや蒸れにくさの観点から暑い時期に好んで使用する人が増えました。しかしウレタンマスクでも注意が必要です。原料となるイソシアネートはアレルギー症状も報告されているからです。決してウレタンマスクだからといって万人の肌に優しいわけではありません。

 マスク着用によって皮膚症状が起きやすい部位は、鼻の高い部分です。医療従事者を対象とした研究では、感染予防対策で皮膚炎を起こした526人のうち83.1%が鼻の頭に皮膚症状が起きました。次に頬で、乾燥やつっぱり感、痛み、かゆみが出現していました。見た目としては、赤みやフケが多く、中でも6時間以上マスクを着用した人に皮膚のトラブルが多かったようです。つまり、仕事や学校で家を出て帰るまでの間ずっとマスクを着用していると、マスクによる皮膚のトラブルがかなりの確率で起きます。オープンスペースやソーシャルディスタンスを保てる場所ではマスクを外すことも必要でしょう。

 もともとアトピー性皮膚炎がある人やニキビのある人はマスクによる皮膚炎が増加しやすいことも報告されています。多くの患者さんはマスクを外した後にかゆみを感じ、顔をこすっているとのことで感染予防対策上でも注意が必要です。顔面全体をこする行為や、目の周りをかいたりかゆみを抑えるために叩いたりすることは、白内障や網膜剥離のリスクにつながります。