論理思考の王さま「演繹法」の問題点
思考法とは、思考を助ける方法です。だから天才に思考法は、要りません。でも、そうでなければ、思考法はヒトの思考力を何倍にも上げる力を持っています。
それを大きく、論理思考法と発想思考法に分けたとき、論理思考法の王さまは、間違いなく演繹法でしょう。ギリシャの昔から研究されてきたこの演繹法は、「拡げる」と「絞り込む」という思考の過程において、絞り込むためのいちばん簡潔で、わかりやすい方法と言えます。より強い上位の条件によって、ズバリ個別案件を判断するものだからです。
たとえば、経営の判断により「新規事業案件の投資利回りは20%以上!」(=上位の条件)となっていれば、「20%未満の案件はすべてアウト」という絞り込みが一瞬で決まります。これが、意思決定における演繹法なのです。
これをもう少し格好良く言えば、アリストテレスの三段論法となります。
とてもシンプルで簡単です。この演繹法は他の思考法と違って、起源はギリシャ時代に遡ります。アリストテレスはその著作で初めて「論理学」を整理し、三段論法という手法を打ち立てました。有名な、①大前提「すべての人間は死すべきものである」、②小前提「ソクラテスは人間である」、③結論「ゆえにソクラテスは死すべきものである」がその例です。
問題は「大前提」です。演繹法では大前提が崩れれば、すべてが崩壊します。