世界的に物価上昇圧力が高い!
日本の企業物価指数は41年ぶりの高水準

 物価の推移を示す経済指標として、卸売物価指数(生産者物価指数=PPI、わが国では企業物価指数として日本銀行が公表)と消費者物価指数(CPI)の二つがある。世界経済全体で卸売物価の上昇は鮮明だ。

 21年11月の米国、中国、わが国、およびユーロ圏の卸売物価指数の上昇率は前年同月比でそれぞれ、9.6%、12.9%、9.0%、23.7%だった。わが国の企業物価指数の上昇率は41年ぶりの高さだ。その要因として、コロナ禍の影響は非常に大きい。感染再拡大によって各国で工場生産や物流が停滞してサプライチェーンの寸断が深刻化した。世界全体で労働力不足も深刻化している。

 脱炭素や地政学リスクの高まりを背景とするエネルギー資源の需給も逼迫(ひっぱく)した。加えて、異常気象を背景とする穀物の育成不順など、複合的な要因が一気に顕在化して物価を押し上げている。当面の間、供給制約は深刻化し、世界的に卸売物価は上昇基調で推移するだろう。

 内需の強弱によってCPIの上昇率にはばらつきがあるが、卸売物価の上昇によって消費者物価も上昇するだろう。21年11月のわが国の消費者物価指数(総合)の上昇率は、前年同月比0.6%だった。

 日本銀行が発表した『「生活意識に関するアンケート調査」(第88回<2021年12月調査>)の結果』によれば、消費者の物価に対する実感は、1年前と比べて『少し上がった』と回答した人が60.8%(21年9月時点では52.6%)、『かなり上がった』と回答した人が16.6%(同8.9%)いた。

 さらに4月には、21年春の携帯電話料金引き下げの影響がなくなる(げたが外れる)ことによって、消費者物価指数は1.5ポイント程度押し上げられる見込みだ。国内外でインフレ圧力の高まりは一段と鮮明化するだろう。