千葉御三家の出願動向

 ここからは前ページの人気入試の出願状況も参照しながら見ていこう。まず、埼玉の実倍率が2倍に満たない1倍台半ば中心だったのと比べると、千葉は2倍・3倍台が珍しくなく、より厳しい競争状況にある。地元受験生も多く、合格体験を得るためのお試し受験というよりも、“実需”に近い状況にある。

 千葉の私立中高一貫校の御三家は、20日の市川、21日の東邦大学付属東邦(前期)、22日の渋谷教育学園幕張で、最初の入試の日程が分かれているため、3校併願も可能な点が他都県と大きく異なる。いずれも志願者数が1000人を大きく超える人気だが、幕張新都心の幕張メッセを会場に実施される市川が最多で、次いで習志野市にある東邦大東邦、そして県内最難関校となった千葉市美浜区の渋幕の順に志願者は多い。コロナ禍もあって、21年は20年より1~2割減らしている。

 いずれもすでに出願を締め切っており、志願者数は確定値となっている。21年の実倍率(受験者数と合格者数の比)は各校おおむね2.3倍前後だった。2回目の入試は、いずれも2月に実施される。

 千葉御三家の先陣を切る市川(第1回)は、21年入試を恒例の幕張メッセで実施する際、会場を例年の5割増し確保して密にならないよう配慮していた。それでも、20年の志願者数2754人・実倍率2.35倍に対して、21年は同2463人・2.29倍(男子2.1倍、女子2.7倍)と減らしている。22年はほぼ前年並みのペースで出願が続き、最終的に2457人となった。21年比で見ると、男子12人減、女子6人増となっている。  

 東邦大東邦(前期)は、20年2500人・2.37倍、21年2258人・2.27倍と、志願者数を1割減らし、実倍率も若干緩和していた。志願者数は男子が女子の5割増しという傾向にある。17年に高校募集を停止して県内初の完全中高一貫化に踏み切っている。22年の推薦入試は、先述したように21年比で1割強減らした。21日の前期は、2233人と25人減の前年並みを確保している。 

 渋幕(一次)は、県内トップ校の入試だけに毎年話題に事欠かない。20年は19年より13人増の2142人が志願したものの、第一志望の受験生が多いと判断したことからか、合格者数は121人減の630人と激減した結果、実倍率は19年の2.68倍から3.27倍となり、“渋幕ショック”と騒がれた。前年の反動もあったのか、21年の志願者数は1758人(男子1158人、女子503人)と2割弱減らし、再び“渋幕ショック”となった。コロナ禍とはいえ極端な動きで、20年比で男子283人、女子114人も減らしている。その結果、実倍率は2.44倍とだいぶ緩和した。22年は1921人(男子70人増・女子93人増)と21年に比べて1割弱増やしたが、2000人超えはならなかった。やはり、江戸川を越える“東京県民”はまだ抑制気味という結果なのだろう。