プラトンがピュタゴラスから学んだもの
このピュタゴラス教団の哲学を学ぶために、プラトンが初めてイタリアの地を訪れたのはBC388年でした。
プラトンは39歳前後、ピュタゴラスの死後100年以上が経過しています。
そこでプラトンは何を学んだのか。
ピュタゴラスは、アルケー(万物の根源)は数であると喝破した哲学者でしたから、おそらく数学や幾何学について学んだらしいのですが、もう一つプラトンが学び取った思想がありました。
輪廻転生です。
時間は円環のように回っており、霊魂は不滅で何度も生まれ変わるというインド伝来の思想です。
プラトンは1年後、イタリアから戻ります。
そしてBC387年、彼はアテナイ郊外の北西、アカデメイアに所有していた土地に自分の学園をつくりました。
この地に自分の哲学や学説を信奉する若者を集め、自らの哲学を発展させ継承させたいと考えたのでしょう。
それはピュタゴラスが100年以上も昔に開いた教団で教えた哲学が、脈々と南イタリアで受け継がれていたことに影響を受けた結果だったと思われます。
アカデメイアはプラトンの死後も、ギリシャ古典を学習できる最高学府として発展しますが、大学と呼ぶよりも、むしろ、一つの思想や宗教を信じる人々が結集して学ぶ教団と考えてもいいのではないかと思います。
この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)