そして彼らの生態系を観察すると、環境やアニマルウェルフェアに取り組みながら養鶏場や農場で育てる事業、それらの材料を安全かつ無添加の食品に加工する事業、出来上がった商品を食卓に直接届ける事業と、三つの流れをワンストップで実現していることに気づきました。このような業態のサステナブルな上場企業は全国でもほぼありません。そこで、彼ら自身を表すシンプルなタグラインをつけることにしました。
「そだてる、つくる、たべる。」
誰でも直感的に分かる言葉に落とし込めると、シンプルな理解を促せます。私たちのデザインでは、こうした率直さをいつも大事にしています。
変異と適応の往復によるアイデアの創出
適応的な観察が済んだら、実際にアイデアを出していきます。改めて以前の記事の変異の9種類のパターンを思い出してみましょう。このパターンにのっとって、デザインのアイデアを説明してみたいと思います。
![山口県企業のパッケージがドイツで金賞!「進化思考」的ブランディングとは](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/c/650/img_2cae945ac6f83d01b1ec7dfb551e444b56397.jpg)
まずスーパーマーケットで買い物をしている時を思い出してほしいのですが、皆さんがもし「口に入るものは間違ってはいけない」と強く意識したら、商品のどこを真っ先に見ますか? きっと多くの人が「裏面の原材料表示」を見る、と答えるはずです。
ここから、ひらめいたことがあります。この裏面に追いやられた原材料表示をものすごく大きくして、パッケージデザインの主役にするのはどうでしょう。
それを見れば安全な材料を選び抜いていることが一目瞭然(りょうぜん)のはずです。変異のパターン的に言えば「変量」ですね。これがデザインの大方針となりました。
しかし出来上がった試作デザインを適応的に観察すると、なんだか業務用スーパーのパッケージのようになってしまったことに気づきました。これでは売り場で勝てず、ブランドイメージもあまり向上できません。そこで、さらにオーガニックファームらしさを込める手法を探しました。