1989年時点でバークシャー・ハザウェイはコカ・コーラの発行済み株式の7%を保有していた。バフェットは、バークシャーのポートフォリオの3分の1の10億ドルを同社に賭けていた。10年後、バークシャーのコカ・コーラへの投資の価値は116億ドルに達した。同じ期間にS&P500指数に投資していた場合の価値は30億ドルであった。

 バフェットのコカ・コーラ購入はバリュー投資だったのか。それとも、1990年代に市場の勢いに支えられていたグロース派の投資に屈したのだろうか。

 バフェットは、魅力的な投資かどうかをどのように判断すべきなのかと、私たちに問いかける。

 多くの投資家は、「バリュー」と「グロース」の2つのおなじみのアプローチを、あたかも相互に排他的な概念であるかのように扱っているとバフェットは言う。「アナリストの多くは、バリューとグロースという、従来は対立すると考えられていた2つのアプローチのどちらかを選択しなければならないと感じています。実際、多くの投資のプロたちは、2つを混ぜ合わせることは知的な服装倒錯(異性の衣類を着ること)の一種だと考えています」

「バリュー投資とは、一般的に、株価純資産倍率が低い、株価収益率が低い、配当利回りが高いなどの特徴を持つ銘柄を購入することを指しています。残念ながら、たとえこのような特性が複数組み合わさって現れたとしても、投資家が本当に価値のあるものを買っているかどうか、つまり、投資で真に価値を得るという原則に基づいて行動しているかどうかを決定づけるにはほど遠いものです。同様に、株価純資産倍率が高い、株価収益率が高い、配当利回りが低いなどの反対の特徴は、価値あるものを購入することと決して矛盾しません」

 1992年のバークシャー・ハザウェイの年次報告書の9ページに掲載されている上記の発言は、短い表現でバフェットのバリュー投資に対する感じ方を具体的に示している。彼にとってのバリュー投資とは、株価収益率の低い企業を買うことだけではなく、株価収益率の高い企業を買うことを排除しないのだ。