◇納得感を持つ

 価値を感じていないことに前のめりになることはできない。例えば勉強したくないという学生は、勉強の価値を発見できていない。「この職業に就くためには、この大学に行かなきゃならなくて、そのためには今のこの勉強は非常に役立つはずだ」というような思考で納得感を得られれば、勉強に対して前のめりになれるだろう。つまり、自分の目標に繋がることには、自然と能動的になれるということだ。

 そこで著者は、目標を立てることを勧めている。なぜなら、目標を立てるというのは、能動的に自分で選ぶことに他ならないからだ。「タスクを4つ終わらせる」なのか「本を2冊読み終える」なのか「10人の人に感謝される」なのか。どんな目標を立てるにせよ、その過程で何らかの選択をしているはずだ。

 自分で「選択」するという行為から、選択した物事に対する「納得感」が生まれ、さらには本気で取り組もうとする「前のめり」の姿勢が生まれるのだ。

◇数字を1つ決める

 前のめりになる対象を決めたら、目標を明確にしよう。これは意外と簡単で、数字で1つ、目標を決めればよい。「次のテストで80点を取る!」「この本を30ページ読む!」という風に、目標に数字を入れるようにする。

 数字を入れた目標を設定する理由は、「切り捨て」ができるからだ。例えば「今日は5つタスクをこなそう」という目標だと、ほかの選択肢は切り捨てて5つのみに集中することができる。これが「今日はタスクをたくさんこなそう」という目標だと、3つでも6つでも9つでもよいということになって集中できなくなる。

 3ページでも5問でも12タスクでも、3日でも1年でもよい。目標の中に1つ数字を入れるだけで、格段に集中しやすくなるはずだ。

◇指標を1つ選ぶ

 目標を明確化させるためにもう1つ著者が勧めているのは、指標を1つに絞ることだ。あれもこれもと欲張ると、かえって集中できなくなってしまう。会議のための資料を作るとき、言葉選びにもレイアウトにもこだわると、集中できなくなってしまうのと同じことだ。いろんなものを同時に追い求めるのは大変だから、まずは1つ決めて、その目標だけを追求しよう。

 先ほどの資料作成の例でいうと、簡潔さなら簡潔さを、詳細なら詳細を、レイアウトならレイアウトをと、1つに絞る。それができたら、他の要素を1つ選んで再び集中する。一度に複数の指標を追い求めるのではなく、集中するべき要素を決めて、まずはそれを完璧にすることだ。