「聞く力」と専門性が“この人でなくては”をつくり出す
「まずは相談者の話を聴くのが弁護士の仕事ですが、相談者のお話はとかくあちこちに飛びがちです。弁護士としては有用な情報を早く聞きたいと先を急ぎたくなるところをぐっとこらえ、とことんお話を聞くことは非常に重要なことです。またお話に耳を傾けることから、トラブル解決への道のりを共に歩む信頼関係が育まれるのです」(森本さん)
この傾聴スキルを森本さんはパーソナルブランディングの第一の柱として立てました。
第二はやはり得意分野です。受任実績が高い交通事故と離婚を前面に出しました。損保会社の顧問をしているので取扱い経験も多く、また任意保険に弁護士費用特約が付加されていることも多いので受任する確率が高まるそうです。どちらも、金銭面の解決にとどまらず、生活面・精神面の不安への配慮が欠かせないテーマであることも自分に適していると感じているといいます。
「実績イコール強みと考えていましたが、その強みをアピールすることが大事だということを、インターネットを積極的に活用する事で知りました。弁護士はまさに“私自身(パーソナルブランド)を買っていただく”仕事だからです」(森本さん)
また、森本さんはインターネットを使ったアウトプットの際には、それぞれのツールの特徴に合わせた情報を発信しています。
例えば愛媛新聞社の運営する専門家サイトでは、信頼性を背景にした客観的な取材記事による紹介もあることから、交通事故や離婚トラブルに関するコラムを増やし、意識的に両分野における専門性を打ち出しています。そして、ブログやフェイスブック等、個人間のコミュニケーション、人の結びつきが主目的であるソーシャルメディアでは、自分自身のパーソナリティを知ってもらえるような情報を発信しています。
「信頼性の高い新聞社運営サイトのコラムでは法律相談の参考になるような情報を、ブログでは自分の人となりを知ってもらえるような肩の凝らない情報を多めにしてバランスをとっています」(森本さん)
松山は森本さんの故郷です。大阪の大学を卒業後、松山に戻って弁護士修行からスタート。酒井法律事務所のパートナーとして独り立ちし、今は酒井・森本・高橋法律事務所の代表弁護士になりました。中堅といわれる年代に差しかかり、今後ますます発展が見込まれますが、相談者の力になることを常に忘れたくないといいます。
交通事故のもらい事故で自分の契約保険会社は交渉に出て来られない場合には弁護士費用特約が使えること、弁護士費用が用意できない人は法テラスが弁護士費用を立て替える法律扶助制度があることなど、役立つ情報を惜しみなく提供しています。国選弁護人を務めるなどの公益活動もしっかり行い、日ごろから自分の弁護士姿勢を一貫させていることが、好イメージを形成しているといえるでしょう。
インターネットによる相談件数、受任率のアップにより、事務所の拡充も見据え始めた森本さんです。