では、銀行は何を見てお金を貸しているかといえば、住宅ローンの審査では給与からの返済比率を重要視しています。一般的に「年収400万円未満の場合は返済比率30%以下」「年収400万円以上の場合は返済比率35%以下」と決めている金融機関が多いようです。

 例えば、37歳のときの私の年収が手取りで450万円だったので、「450万円×35%=157.5万円」となり、12ヵ月で割ると1ヵ月13万円程度の返済が限度になります。

 住宅ローンは1つしか借りられないと思っている人が多いですが、不測の事態があったときは、金融機関に正直に相談すると、返済比率に問題がなければ別の住宅ローンを借りることができます

 私も初めて住宅ローンを使ってローコスト住宅を買ったとき、最初は住民票を移して住んでいたのですが、しばらくして本当にどうにもならない不測の事態になったので、別の住宅ローンを組んで築20年の新しい中古マイホームを買うことになりました。

 年収450万円の私の住宅ローンの上限が13万円程度で、返済比率から計算すると、金利0.8%で25年元利均等返済の場合、借りられる金額は3300万円程度になります。普通なら住宅ローン限度額ギリギリの3300万円で買ってしまうところですが、初めの住宅ローンでは1650万円を35年返済で借りて、月4.7万円払いであったので、次に買う新しい中古マイホームでは、住宅ローン1650万円を25年返済で借り、月6万円を払う計画を立てて融資を申し込みました。

 新しい銀行にも、のっぴきならない状況を説明して理解してもらい、2つ目の住宅ローンを組むことができました。新しい築20年の家がある地域に住民票を移したのち、前の住宅を賃貸にすることを銀行に伝えましたが、そのまま返済を続けてくださいとのことでした(ちなみに、住宅ローン控除は住んでいる家のみが対象になります)。

賃貸併用住宅とは違う!?
「心の賃貸併用住宅」とは何か

 初めのローコスト住宅を賃貸に出したところ、月12.5万円で貸すことができました。2つのローンを合わせても返済額が月10.7万円なので、1.8万円のおつりがきます。

 もちろん、2つの物件の固定資産税や火災保険、この10年間で6ヵ月程度の空室期間があったことを考慮すれば、まったくのタダで住んでいるわけではありませんが、住んでいるほうの住宅ローン控除や住んでいないほうの減価償却を勘案すると、限りなくゼロ円に近い状態でマイホームに住んでいることになります。

 私はこれを「心の賃貸併用住宅」と呼んでいます。もし「心の賃貸併用住宅」をこれから始める人は、のっぴきならない理由を絶対に隠すことなく、初めの住宅に1~2年くらい住んだあとで、2つ目の住宅ローンを組んでください。そうすれば、なんの問題もなく2つの住宅ローンを組んで「心の賃貸併用住宅」に無料で住むことができます。

 そして、「心の賃貸併用住宅」をつくるための一番の注意点は、初めの住宅を無理なく高家賃で貸せるエリアにすることです。そのためには、市場価値を理解し、自分の住みたいエリアではなく、みんなが住みたい(貸せる)エリアに住むことが重要です。

 私の元いた会社の後輩の例ですが、初めは割安な低層階のマンションに住んでいたところ、同じマンションの高層階で、自分の買った低層階よりも安い超お買い得な部屋を見つけました。とても悔しがっていたので、別の住宅ローンを組んで高層階の部屋を買って引っ越し、今住んでいる低層階のマンションを貸し出すことを提案しました。

 その結果、見事、低層階のマンションを貸すことで、住宅ローンの支払いが増えることなく高層階の部屋に引っ越すことができました。

 将来的には、下のマンションに子どもの家族を住まわせたり、親を住まわせたり、高く売れそうなら売って利益を出すこともできそうです。最近、値上がりしているらしく、この前、久しぶりに会ったら、ものすごく感謝されました。