私は結婚して子どもが生まれ、長男が1歳になったとき、会社の異動で転勤になったことで、借り上げ社宅に入ることになりました。まだ、子育てもままならい状態で、自分たちの両親がいない地域で子育てをするのは本当に不安でした。妻は、両親の助けを借りながら正社員として復帰するつもりでしたが、親の協力がなければ共稼ぎは難しく、結局、正社員としての復職はあきらめました。

 そのうち、2人目の子どもも生まれ、慣れない土地で家族4人、2LDKのアパートに住みながらの生活が続きました。子どもが小さい頃はマシだったのですが、大きくなるにつれて、子どもが走り回るので部屋が手狭になり、上の子どもが小学校に入る頃から、アパートの上階の住人から騒音のクレームが入るようになりました。

 会社の借り上げ社宅に入っていれば、会社から補助が出て安く暮らすことができますが、自分でマイホームを買った場合は、会社からの補助はなくなります。ただでさえ手取りが少ない中で、これ以上の支出が増えるのは困ります。

 当時、定年まで勤め続けるのではなく、お金の増やし方を学んで早期にリタイアしたいと考えていました。そこで、FIREするためにも、賃貸併用住宅を建てることを妻に提案しましたが、却下されました。賃貸併用住宅とは、1棟の建物に自宅部分と賃貸部分がある住宅のことです。

 却下された理由は、今もアパートの上の人から騒音のクレームがきているのに、賃貸併用住宅に住んだところで、賃貸人から騒音のクレームがくる可能性があるから嫌だ、というものでした。確かに理解できる理由です。

ローコスト住宅や中古物件で
余裕のある返済条件にする

 子どもにはピアノを習わせており、妻の実家にあるピアノを持ってきて弾けるようにしてあげたいというのも、戸建てを買いたい理由でした。

 支出をすることなく家を買う方法を必死に考えた結果、出した答えが「心の賃貸併用住宅をつくる」というものです。

 住宅ローンの担保評価で重要なことは「人物」であり、物件の担保評価はほとんど意味がありません。つまり、住宅ローンとは、築30年の家であっても長期間のローンが組めるという、不動産投資では考えられない特性を持っている商品なのです。

 当時、私はサラリーマンとして東証1部上場企業に入社して15年以上まじめに働いていたので、その実績は銀行から見れば高い評価になります。住宅ローンの審査では、物件担保価値よりも人物の審査のほうに重点を置いて見てくれます。

 基本的にマイホームの担保価値は右肩下がりなので、あまり信用ができません。むしろ、大企業や公務員のように、将来も安定的な給与をもらっているサラリーマンに評価価値を置いてくれるのです。