TikTokはなぜステマに手を染めたのか?若者人気に隠された「3つの要因」Photo:123RF

「TikTok」運営元の日本法人が、インフルエンサーに報酬を支払い、Twitter上で特定の動画を紹介させていた。TikTokは若者に大人気で、2021年にはGoogleを超えて世界最多のアクセス数を記録するなど、今最も影響力のあるプラットフォームのひとつである。にもかかわらず、なぜ運営元はステマに走ったのか。その主な要因と、ステマにだまされない「リテラシーの高め方」を解説する。(経済評論家 加谷珪一)

「TikTok」日本法人にステマ疑惑
ネットの有名人を使って動画宣伝

 動画共有サービス「TikTok」を運営するTikTok Japanが、ネット上でフォロワーの多い有名人に報酬を支払い、Twitterで特定の動画を一般投稿のように紹介させていたことを認めた。こうした手法は、どこまでが不当な広告なのか線引きが難しく、同社に限らず、似たような事例が無数にある。最終的には消費者がリテラシーを高める以外に、だまされないようにする方法はない。

 TikTok Japanは2019年7月から21年12月末にかけて、延べ20人のインフルエンサーに対価を支払った上で、人気の動画を紹介してもらうよう依頼していた。インフルエンサーとは、TwitterなどSNS上において大きな影響力を持つ人物を指す。広告業界でこの言葉を使うときは、基本的にテレビに出ている芸能人は含まず、ネットの世界で多くのフォロワーを抱える人物を指している。

 世間一般には名前が知られていなくても、ネットの世界では「超」の付く有名人というケースも多く、こうした人たちがSNSなどで商品やサービスを紹介すると爆発的に売れることがある。このため、多くの企業がインフルエンサーに自社商品を取り上げてもらえるよう工夫を重ねている。

 一部の企業は、インフルエンサーに直接対価を支払って自社商品の紹介を依頼している。彼らが投稿に「AD」「PR」などと付記し、広告であることを明示して紹介すれば、テレビCMなどと同様、ごく普通の広告宣伝ということになるだろう。

 しかし、報酬を得ていることを明示せず、あたかも自主的な評価としてその商品を紹介した場合、消費者には広告であることが分からない。こうした宣伝手法は俗に「ステルス・マーケティング(通称ステマ)」と呼ばれている(ステルスとは「隠密」「補足されにくい」という意味がある)。

 今の日本にはステマを直接規制する法律はなく、景品表示法などにおいて優良誤認などに該当しない限り、取り締まることはできない。このため業界における自主規制という形で制限を加えているのが実状である。今回の問題視されたのは、TikTokの運営会社が、自社のサービスへのアクセスを増やすために行った措置である。