この会談で、プーチン大統領は「年間で100億立方メートルの天然ガスを極東から中国に供給する」と約束したのである。

 ロシアは、2019年以降、「パワー・オブ・シベリア」と呼ばれるパイプラインと海上輸送で中国に天然ガスを送っている。これをさらに「拡大しましょう」というわけだ。

 中国からすれば、ロシアは世界で3番目のガス調達先となっている。ロシアの申し出は、今後、経済成長を続けるうえで渡りに船というものだ。

 ロシアにとっても、仮にウクライナに侵攻し、アメリカなどから制裁を受けても、中国にガスが売れればどうにかなると思わせるに十分な合意内容になったはずだ。

ウクライナ侵攻を
急ぐプーチン

 首脳会談は中ロ双方がWIN-WINの形で終わったが、他方で、ウクライナ侵攻と台湾統一の緊急度の違いも見えた。

 中国という後ろ盾を得たプーチン大統領は、2月7日のフランスのマクロン大統領との会談に続き、2月15日にはドイツのショルツ首相ともモスクワで会談する。

 マクロン大統領は4月に大統領選挙を控え、外交でポイントを稼ぎたいという思いがある。一方のショルツ首相も、メルケル氏からバトンを受け継いだばかりで、事を荒立てなくない立場。

 特にドイツの場合、「ヤマル・ヨーロッパ」や「ノルドストリーム2」というパイプラインで、天然ガスをロシアに依存していて、関係が悪化しガスの供給が止まれば、ドイツ経済は大打撃を被ることになる。