プーチン大統領は、アメリカチームに近い、しかも自分に対して強くは出られない二人と会談を持つことで、ウクライナ侵攻の正当性を主張し、NATOの東方拡大阻止へと動いたわけだ。

 したがって、2月15日の独ロ首脳会談、もっといえば、北京オリンピックが終わる2月20日までは、ウクライナに侵攻する可能性は低くなったとみる。

 とはいえ、ロシアは、中国における台湾問題とは異なり、放置しておけば、ウクライナにNATOのミサイルが配備されかねない受け身の立場にある。

 加えて、ウクライナ東部には、ロシア語を話し「自分はロシア人」と語る親ロシア系住民が多く、彼らの思いに応えなければ最高権力者として沽券(こけん)に関わるとの思いもあるだろう。つまり、ウクライナ侵攻は「急ぐ案件」なのだ。

 ロシアがウクライナに侵攻し、同時にヨーロッパ向けの天然ガス供給を絞れば、ロシア経済も打撃を受ける。そのためにロシアは、有事に備え予備費を設けているのだが、これを取り崩すだけでなく、中国マネーも期待できるとなれば、攻め込む条件は整う。

 2008年、ロシアは、夏季の北京オリンピック開会中にジョージアに侵攻し、当時の胡錦濤指導部を激怒させた。

 今回、ウクライナ侵攻があるとすれば、2014年、ソチオリンピックが閉幕してすぐクリミア併合に動いたときと似たような形になるのではないだろうか。

 アメリカ当局は、ロシアがすでに侵攻準備を完了させ、実際に侵攻すれば2日でウクライナの首都キエフを制圧できると分析している。