FIRE(経済的自立と早期リタイア)をしたいと思ったら、投資の種銭となるお金を貯めなければいけません。それなのに、ついついお金を使ってしてしまうのが人間というものです。買い物の金額が大きくなると、お金の価値が下がっていき、思わぬ浪費をしてしまうこともあります。そうしたお金の無駄遣いをなくすにはどうすればいいのか――『年収300万円からのFIRE入門』を上梓したファイナンシャルプランナーの西野浩樹氏にお話をうかがいました。

インフレのモノサシを持っていると、お金は貯まらないPhoto: Adobe Stock

同じ2万円得をするのに、
金額によって人の行動は変わる

 お金を増やす一番簡単な方法はケチることです。でも、毎日の生活で危険なのは、大きな買い物をするときに感覚がインフレして、1円の価値が下がってしまうことです。

 インフレとはモノの値段が上がり続ける状態のことですが、言い換えると「お金の価値が下がる」ことです。ドラッグストアでは90円で買えたジュースがコンビニに行くと2倍の180円になったとします。同じジュースを手に入れるのに2倍のお金が必要になるわけですから、お金の価値が2分の1になったといえるでしょう。

 通常の感覚なら、ドラッグストアとコンビニが並んでいれば、ドラッグストアで買い物をすると思います。では、買うものの金額が上がり、買うところも隣町になったら、どうでしょうか?

(1)あなたが以前から欲しかったバルミューダのトースターが、近所の家電量販店なら2万2000円、隣町に新規オープンした家電量販店なら2000円で数に制限なく売っているとしたら、買いに行きますか? 行きませんか?
(2)あなたが以前から欲しかったスマホの新型iPhoneが、近所の家電量販店なら12万2000円、隣町にオープンした家電量販店が新店舗完成記念特価10万2000円で数に制限なく売っているとしたら、買いに行きますか? 行きませんか?
(3)あなたが以前から欲しかった車のホンダのN-BOXが、152万2000円で近所のディーラーで売られていて、隣町に新しくオープンしたホンダのディーラーではオープン特価150万2000円で台数に制限なく売られているとしたら、買いに行きますか? 行きませんか?