19年には話題の商品やコンテンツを紹介する「レビュー動画」や、料理やメークの仕方を解説する「ハウトゥー動画」、休日の過ごし方や旅先での思い出を動画に収めた「Vlog」など、多種多様な動画が投稿されるようになる。

 20年には、TikTokをきっかけに知名度を上げていくアーティストや、売り切れが続出する商品が出始め、人々の消費行動に影響を与えるプラットフォームへと進化していった。

「TikTokに投稿される動画は尺が短い上にテンプレートがあるので、他の動画共有サイトに比べて撮影から投稿までのハードルが低いのが特長です。まねとアレンジを楽しむ『ミーム』という現象が初期から利用者の間で親しまれていたので、多くの動画が生まれ、広まっていきました。ユーザー同士がコメント欄で活発に交流するほどポジティブな場なので、真似することを歓迎する風土も拡散を後押ししています」(鈴木氏、以下同)

 たとえば、昨年多くの店舗で完売が相次いだ「地球グミ」こと「Trolli プラネットグミ」は、人気クリエーターがTikTokにアップした、同商品を使ったASMR動画(心地よく感じられる音声や映像)を引き金にブームを起こした。

「TikTokはフォローした人の投稿ではなく、『おすすめ』を見る人が多いんです。コメントや“いいね”が多い動画だけでなく、“いいね”がゼロの動画がおすすめされることもよくあります。だから、フォロワーが少ないアカウントでも、話題の商品などを扱えば一気に“バズる”チャンスがあるのです」

多くの懐かしい商品が
TikTok売れする理由

 他にも、TikTokが持つ数々の独自の仕組みが、TikTok売れにつながっている。

「1本の動画の尺の短さも、消費促進に良い効果を与えています。数十秒から長くても3分という尺は、レビュー動画なら簡潔に内容を把握できる長さなので、気になる商品やコンテンツの概要をつかみやすいのです。TikTokの短尺動画は、消費者に存在を認知してもらうのに最適なツールといえます」

 数十秒の動画は、いわば“フック”のような役割を担っている。気になる音楽があれば音楽配信サイトへ、製品なら販売しているECサイトへと、主戦場へ客を引っ張るための足がかりとなってくれるわけだ。