物流危機#2Photo:123RF

2017年の宅配クライシスを機にアマゾンジャパンは自前の物流網を強化し、パートナーとなった中堅物流会社は絶好調だ。しかし浮かれてばかりいられない。特集『物流危機』(全14回)の#2では、アマゾン依存度の高い会社に忍び寄る「中抜き」と「買収」のリスクを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝、松野友美)

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アマゾンフレックスに続く
第2の中抜き戦略

 EC(電子商取引)大手のアマゾンジャパンは、宅配大手による運賃値上げや荷受け量抑制が起きた2017年の「宅配クライシス」以降、自前による物流網の強化に乗り出した。提携した地域密着の中堅運送会社を「デリバリープロバイダ(デリプロ)」と呼び、組織化していったのだ。

 さらに19年からは、個人事業主である軽貨物ドライバーと直接委託関係を結ぶプログラム「アマゾンフレックス」を始めた。

 物流業界は重層下請け構造で成り立ってきた。個人事業主はその最下層に位置付けられ、デリプロからすれば「傭車」と呼ぶ貴重な戦力。アマゾンフレックスは「中抜き」になる。

 ただ中抜きのダメージを補って余りあるほど、デリプロ各社はEC特需、アマゾン特需の恩恵を享受し、業績好調だ。

 そんな中で、アマゾンは新たな手を打ってきた。第2の中抜き戦略である。