業界3位、度重なる損失計上で長く配当ゼロが続いた川崎汽船が、ようやく回復した。とはいえ経常利益の95%を外部に切り出したコンテナ船事業に依存しており、今後は本業のばら積み船事業などの強化が不可欠となる。特集『海運バブル “コロナ最高益”の不安』(全8回)の最終回では明珍幸一社長に、大株主のファンドの意向や、環境対応など今後の戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
経常利益予想5400億円、「本業」は370億円
不採算な船を処分、「利益の上乗せは可能だ」
――2022年3月期の経常利益見通しは5400億円ですが、そのほとんどはOcean Network Express(ONE)に切り出したコンテナ船事業です。本体で手掛けるばら積み船事業などの経常利益は、370億円の見通しです。まだ伸ばせますか?
はい。まだ伸ばせる数字だと思っています。これまでは自己資本を毀損して構造改革をしてきましたが、足元では高い利益を上げて自己資本が拡充し、昨年12月末には50%弱に回復しました。
これまで手を付けなられなかった運航コストの高い船の処分にめどが付き、海洋資源開発事業の会社を清算したことで、利益が50億円ほどこれから出てきます。370億円は通過点だと思っています。
――資源や自動車、ばら積み貨物などコンテナ以外の貨物の需要の先行きをどうみていますか。
例えば鉄鉱石は、20年は中国で、21年はインドと日本で大きく需要が伸びました。今後は新興国での一定の伸びは期待できますが、全体として大きく伸びるとはみていません。少しずつ減っていくでしょう。