鮮烈なマゼンタ色の船体、本社はシンガポールのおしゃれなオフィス――。日本の海運大手3社がコンテナ事業を切り出して2017年に設立したOcean Network Express(ONE)。新型コロナウイルスの感染拡大による物流の混乱で異例の好業績をたたき出し、3社の最高益を実現した。ただ、貨物取扱量世界6位という現状をどう考えるか。特集『海運バブル “コロナ最高益”の不安』(全8回)の#2では、ONEの今後の戦略とリスクを占う。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
マリーナベイを望む本社オフィス
空前の利益を上げたがスタート時は…
コンテナをかたどった会議室に、仕切りのない開放的なワークスペース――。シンガポールの高級ホテル、マリーナベイ・サンズに程近い、海を望むオフィスに、コンテナ船会社Ocean Network Express(ONE)の本社がある。
コーポレートカラーは一見ピンク色に近いが色が濃く、正確にはマゼンタ色だ。上写真の通り、ONEの船体の全面にこの色の塗装が施され、海上でも港でも、目立つことこの上ない。
ONEは日本郵船、商船三井、川崎汽船という日本の海運大手3社がコンテナ船事業を切り出して統合、2017年に発足した。今や世界的なコンテナ船運賃の高騰によって空前の利益を上げる同社は、出資している海運3社に過去最高益をもたらした。
しかしそのスタートは、混乱に満ちた苦しいものだった。次ページでは、視界不良の船出から「金のなる木」へと変貌する過程を明らかにするとともに、「日の丸コンテナ船」の世界序列逆転の可能性を探っていく。