海運バブル コロナ最高益の不安#1Photo:123RF

一体いつまで続くのか!?世界的なコンテナ物流の混乱が長引いており、解消するだろうと見込まれる時期は、専門家らの間でも分かれる。国内での食品値上げの原因ともなっている一連の問題はなぜ起きたのか?解消に向かうきっかけは何なのか?なぜ、海運会社は過去最高益なのか?特集『海運バブル “コロナ最高益”の不安』(全8回)の#1で詳しく解説する。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

食卓を揺さぶる値上げラッシュ
元凶の一つに世界的「海運バブル」

 まさに値上げラッシュの様相である。パンやサラダ油、菓子など食品を中心に値上げのニュースが伝えられる。円安や原油、原材料の価格高騰が、その元凶として説明されることが多い。だが、モノによっては原因はそれだけではない。

 例えば、しょうゆや豆腐にも値上げの動きがある。これらの原料は大豆だが、日本が輸入する大豆の7割は米国産で、主にコンテナ船で米国西海岸から太平洋航路で輸入される。

 ところが新型コロナウイルスの感染拡大後、回り回って、コンテナ船の運賃が歴史的に高騰した。これもまた、日本で販売される食品の値上げの一要因となっているのだ。そば粉の多くを輸入に頼るそば、そして食品以外では、コピー用紙や木材の合板でも同様の理由で値上げの動きがある。

 生活に身近な商品だけではない。建機大手のコマツは昨年12月、国内向けの油圧ショベルやフォークリフトを今年1月から平均10%値上げすると発表した。その要因として「昨今の世界的な半導体やコンテナ不足の影響」を挙げており、販売価格に転嫁した形だ。

 このようにさまざまな商品の価格が上がる半面、海運会社は過去にないほどの利益を計上した。一連の混乱を振り返ると、その要因は実は、コロナ禍の前から生じていた。

 次ページでは、世界的な海運バブルのカラクリとその賞味期限に加え、コンテナ物流を巡る混乱解消を阻む構造的要因を解き明かしていく。