日本生命は240億円の投資実行
生保でも提携・投資が活発化
損害保険各社はここ数年、既存の損保事業に新しいデジタルテクノロジーを活用し、新たなサービスによって顧客体験を刷新したり、営業プロセスや事務手続きなどの効率を向上させたりする動きを本格化させている。また、専門部署やコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を立ち上げ、投資や提携を進めたりする活動も活発。注目を集めている。
一方、生命保険各社はというと、損保ほどデジタルに関して活発だとは言い難い。生命保険は契約期間が10年超、時には20〜30年といった長期契約が主体であり、大手生保ならば1000万件を超える保有契約から安定的に収入を得られる。故に、イノベーションに取り組む機運が盛り上がりにくいといえる。
ところが、業界の盟主である日本生命保険は、前中期経営計画(2017年度から20年度)において、イノベーションの促進に本格的に着手。20年4月にはオープンイノベーションの拠点となる「Nippon Life X」を始動させていたのだ。
日生は前中計の最終段階である21年2月末時点で、スタートアップ企業やVCファンドへ約240億円の投資を実行したと公表。こうした盟主の動きが、他生保が追随するきっかけとなりそうなのだ。
では、Nippon Life Xとは何を行う組織なのか。また、デジタル化における日生の戦略とは何か。次ページ以降で詳述していこう。