アスリートのチャンピオン
の視野でビジネスにも関わる

 サッカーフランス代表がワールドカップで優勝した際、チームにはメンタルトレーナーが帯同していたそうです。そのトレーナーはビジネスの領域でも活躍しており、「スポーツとビジネスはイコールである」という考えが海外では強く、そして広く浸透しています。

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 友人である外資系企業の元営業本部長・二コラさんもまた、これと同じ考えを持っていました。日本での生活も長く、柔道とテニスを愛している二コラさんは、営業担当者が高いパフォーマンスを発揮し、組織としても成熟することを願っていました。そこで、アスリートにおけるチャンピオンの視野をビジネスに生かせないかと、話があったのです。スポーツとビジネスの融合は大切ですね。

「チャンピオン」とはスポーツの現場で使う言葉ですが、彼らに共通するのは、結果を残していること。そして、結果を残すために、徹底的に自分と向き合い、思考や体調について理解し、高いレベルでマネジメントしているのです。

 その心技体を支えているのが、不安定なものを安定させる“土台の土台”とも言える機能「ライフスキル」。つまりは機嫌良く質を重んじて、目標や目的に向かっているのです。これらは、ビジネスシーンでも同様ですね。「スポーツとビジネスはイコールである」という考えのように、アスリートにはビジネスパーソンが学ぶべき姿勢があるのです。

辻 秀一(つじ・しゅういち)/1961年東京生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学で内科研修を積む。人の病気を治すことよりも「本当に生きるとは」を考え、人が自分らしく心豊かに生きること、すなわち“人生の質=クオリティーオブライフ(QOL)”のサポートを志す。その後、スポーツにそのヒントがあると考え、慶大スポーツ医学研究センターを経て、人と社会のQOL向上を目指し株式会社エミネクロスを設立。 応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織のパフォーマンスを最適・最大化する、自然体な心の状態「Flow」を生みだすための独自理論「辻メソッド」によるメンタルトレーニングを展開。スポーツ・芸術・ビジネス・教育の分野で多方面から支持を得ている。活動の場は多くの企業へ広がり、講演活動や産業医、Chief Health Officer、社外取締役など様々な視点から、企業の健康経営のサポートやフローカンパニー創りにも取り組む。さらに、スポーツの枠を超え、コンサルタントとしても幅広く活動。行政・大学・地域・企業・プロチームなどと連携し、スポーツの文化的価値「元気・感動・仲間・成長」の創出を目指す。子どもと社会のご機嫌を目指す一般社団法人Di-Sports研究所代表理事でもある。
【著書紹介】
37万部突破の『スラムダンク勝利学(集英社インターナショナル)』をはじめ、『フロー・カンパニー(ビジネス社)』『自分を「ごきげん」にする方法(サンマーク出版)』『禅脳思考(フォレスト出版)』『Play Life, Play Sports~ スポーツが教えてくれる人生という試合の歩み方~(内外出版)』『(2/10発売予定)自己肯定感ハラスメント(フォレスト出版)』など著書多数

*スポーツドクター、作家・辻秀一氏に聞く(4)に続きます。