マンションを引っ越す際に、入居者同士の関係悪化が一因になることは多い。その場合、自分たちの身の丈に合ったマンションに引っ越すことになる。そこで、マンションごとの居住者の平均年収を算出し、ランキング化を行った。一つの指標にすぎないが、重要な判断指標になると考えている。ぜひご自身の物件選びにお役立ていただきたい。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)
入居者同士の人間関係が
引っ越しの一因に
知り合いと新築分譲のペントハウスを見に行った。最上階のそのペントハウス仕様の部屋は確かに絶景の夜景が見える特別なものだった。しかし、知り合いは購入には至らなかった。なぜなら、そのマンションの下層階は賃貸で、エレベーターも賃貸と共有で1つしかなかったからだ。通常、大規模なタワーマンションなどでは、高層階と低層階の入居者エレベーターが異なるものだ。それも単身中心の賃貸居住者と同じエレベーターは「がっかり」だったわけだ。
マンションの宿命は、同じ屋根の下に他人と共同で住まなければならないことだ。隣接住戸とは日常的に会うことになるし、上下階は騒音の問題を抱え、子どもの友達も同じマンション内が多く、必然的にママ友も多くなるし、そして同じ管理組合に入り、理事会にて合議でさまざまなことを決めなければならない。最近、大規模修繕の費用と実施をどのようにするかなどは、お金が絡むだけに難しい問題になっている。
マンションを引っ越す際に、入居者同士の関係悪化が一因になることは多い。それは、生活レベルや子育ての考え方、ごみ置き場や共用廊下に見られるモラルなど多様だ。子どもが大きくなったから、部屋数が足らなくなったから、私立中学に合格したからなど、家族の置かれた状況は数年たてば変わっていく。
大は小を兼ねて、戸建ての場合には購入時よりもかなり価格が落ちるので、売るに売れないため、引っ越しの選択肢はない。しかし、マンションは価格が下がりにくいために、引っ越す可能性があるのだ。そうなると、自分たちの身の丈に合ったマンションに引っ越すことになる。その際に、重要な判断材料は、そのマンションの居住者が自分たちと合うか、だ。年齢層や子育て世代の多さ、生活レベルは、近いほうが日常的なストレスは少なくて済む。そこで、マンションごとの居住者の平均年収を算出してみた。それは一つの指標にすぎないが、代替するものがないので、重要な判断指標になると考えている。
23区マンション居住者の
平均年収ランキング
平均年収といっても、新築から年数が経過し、売買時に入居者が入れ替わることになる。マンションは毎年一定割合が引っ越し、数十年たつと入居者はかなり入れ替わっている。竣工した年から売買価格がどのように変化したかを追い、その年の年収倍率で売買価格を割り戻してマンションの平均年収を算出している。なので、今住んでいる世帯全員の平均年収に該当するデータとなる。
同じ70平方メートルのマンションという前提で、区ごとに平均年収を算出し、それをランキング化してみた。
都区部では、上位6区が1000万円超えになる。年収が1000万円を超えているなら、こうした場所で購入したほうがいいということだ。