日本M&AセンターPhoto by Yasuo Katatae

M&A(合併・買収)仲介最大手の日本M&Aセンターホールディングスが、中核事業会社である日本M&Aセンターで成約前の仲介業務の契約書の写しを偽造するなどして売り上げを前倒し計上する不正が過去5年で83件あったと発表した。M&A仲介業は許認可が不要で、参入障壁が低いことから、市場には悪質業者が参入し、トラブルも増えているという。業界トップ企業が行った不正行為は、業界の信用を低下させることにつながりかねない。なぜ、このような不正が長らく放置されてきたのか。(東京経済東京支社長 井出豪彦)

トラブル増加のM&A業界で
トップ企業が契約書写しを偽造

 M&A仲介最大手の日本M&Aセンターホールディングス(東証1部)は2月14日、中核事業会社である日本M&Aセンターで成約前の仲介業務の契約書の写しを偽造するなどして売り上げを前倒し計上する不正が多数あったと発表した。

 昨年12月から調査を開始した「調査委員会」(委員長:山岸洋弁護士)の報告書によれば、M&Aセンターでは三宅卓社長ら経営陣から発せられる強いメッセージのもと、売り上げ至上主義的経営が行われ、結果として「ビジネス・パーソンとして許容されない一線を踏み越えてしまった」と厳しく指摘した。