ビジネスで必要な
たった一つの「ロジック展開」
さらに、このサマリーには下図のロジック展開が埋め込まれています。
私は、一般的な事業会社においては、このロジック展開がきちんと組み上げられた提案であれば、ほぼすべての提案事項に対して即決で意思決定できると考えています。よほどクリエイティブな業種でなければ、事業会社で意思決定が求められるのは「問題解決」に関する案件が大半を占めるからです。
重要なのは、「1課題」「2原因」「3解決策」「4効果」の4つが、この順番で並んでいること。そして、それぞれが「なぜ?」「だから、どうする?」「すると、どうなる?」という言葉でつながっていること。これを意識することで、提案には自然と強力なロジックが備わるのです。
「なぜ?」「だから、どうする?」「すると、どうなる?」
例えば、ある小売企業で店舗の来客数が大幅に減少していたため、上層部から対応策を考えるように指示があったとしましょう。この指示を受けた管理職が、あるメンバーに検討を依頼した場合、およそ次のようなプロセスで「ロジック」を組み上げていくことになります。
この場合には、「課題」は「店舗来客数の大幅減少」となりますので、まず、「なぜ、来客数が大幅減少しているのか?」という問いかけに答えるために、その「原因」を探ることから検討を始めることになります。
おそらく、担当メンバーは、顧客アンケート、スタッフアンケート、あるいはミステリーショッパーの調査などの方法によって、「原因」を追求するはずです。その結果、「接客接遇の不評」「店舗が汚れている」「店舗外装の陳腐化」「什器が古い」などの原因が見えてくるでしょう。そして、最も優先度が高いと見られる「接客接遇の不評」をテーマに検討を進めることを決定します。
続いて、「だから、どうする?」という問いかけに答えます。
「来客数減」の原因が「接客接遇の不評」にあるという現状分析に対して、「こうすれば、その原因が解消できる」と提案するわけです。
これにも、さまざまな解決策が考えられるはずです。そこで、「店長に対する接客接遇研修を実施しよう」「いや、スタッフ全員に研修をしたほうがいいのではないか?」「接客接遇マニュアルを配布するのはどうか?」などと検討を加えたうえで、そのなかで有力な解決策を絞り込みます(このサマリーではA案B案の両論併記しています)。
さらに、「すると、どうなる?」という問いに答えます。
例えば、「店長に対する接客接遇研修」を提案するならば、費用対効果を試算するなどして、その「効果」をできる限り数値化するのです。
もちろん、実際にやってみなければ、どのような効果が生まれるかはわかりませんが、できるだけ精度の高い試算を示すことが大切です。その効果が大きいことに説得力が備わっていれば、意思決定を即座にくだすことが可能になるからです。