グッデイのように変われる会社と、いつまでも変われない会社、その一番の違いは何だろうか。営業本部長の内村清次さんは、こう分析してくれた。

「一番はやはり社長ではないでしょうか。社長の理解がない会社が一番つらい。社長がきちんとかじを切ること。次に重要なのはシステム部です。システム部が昔ながらのやり方を踏襲しようとしてブレーキになってしまうケースが多々あります。当社にもそういう時期がありましたが、柳瀬社長がシステムにも詳しくなって合理的な判断をしてくれました」

「わが社もDXを」と宣言する経営者は増えている。しかし口ではそう言っていても、心の奥底では「それはシステム部の仕事」などと考えているケースも見られる。いまだ30年前と同じような感覚でITを捉えている経営者も少なくない。もともと小売業の経営者には、こまめに財務諸表を確認したり、休日でも店舗に足を運んだりして実態を把握し、改善に努めている人が多い。それなのになぜ、ITの話になった途端、他人事になってしまうのだろうか。

「うちの社長にはデータ分析なんてできっこない」、周りがそう諦める気持ちも分かる。しかし結局、誰よりも不安なのは経営者自身だ。人一倍大きな責任とリスクを負っているにもかかわらず、事業が大きくなればなるほど全店舗を隅々まで見て回ることはできなくなる。だから柳瀬さんは、データ分析で全容を把握することに乗り出した。経営者が自らの危機感や好奇心を持って変わること、これがDXにおいて経営者に求められる第一歩かもしれない。