「青い鳥症候群」で就活をしくじらない、業界・企業選びの超思考整理法本当に自分に合う企業や業界を探すためには、発想転換が必要だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2023年卒の学生の就活が、いよいよ始まった。手始めは、3月のエントリーシート(ES)の提出だ。しかし、それはあくまで建前の話。すでに21年の夏や秋には多くの企業でインターンシップが開催され、参加している就活生もいる。とはいえ、「特に準備をしてこなかった」という就活生もまだ間に合う。学生と親は「これからが本番」と気持ちを新たにしよう。人気企業の採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏が、自分に最も合う企業に内定するための就活のコツを、数回にわたって伝授する。今回は、本当に自分に合う企業や業界を探すための具体的な考え方を整理する。

 本格的に就活を始めた人に向け、前々回前回では、最低限踏まえておくべき就活事情や就活で企業を選ぶときのマインドセットについてお話しました。

 就職は恋愛と同じ。自分と合う相手に出合うためにできるだけ多くの企業の企業説明会に参加し、エントリーすることをお勧めしていますが、多くの企業といってもどうやって社数を広げればいいのか、途方に暮れる人も多いのではないでしょうか。そこで、社数の広げ方と、本当に自分のやりたいこととマッチする業界・企業を見つけるための考え方について、お話したいと思います。

「宝くじ企業」にこだわり失敗
全てを賭ける就活はリスキー

 よくある失敗例は、「この会社に行きたい」「この業界で働きたい」と思い詰めるあまり、倍率の高い業界や会社のみを狙い撃ちして、玉砕するパターンです。たとえば少年マンガが好きで、「自分には面白いマンガをつくるアイデアもセンスもあるし、人気連載をたくさん掲載している漫画週刊誌の編集部で働きたい」と思ったとしましょう。実際には、出版社の採用人数は大手であっても十数人程度、またそのうち編集職は数人、さらにはあなたが携わりたい漫画雑誌の編集者の枠は多くて1人か2人、年によっては配属なし、ということもざらにあります(一括採用して職種別でない場合もあります)。そこに数千人ともいわれる応募者が殺到すると、それこそ「当選確率」は宝くじ並みになります。

 私はそういう企業のことを「宝くじ企業」と呼んでいます。もちろん、やりたいことがあるのは大事なことだし、宝くじであっても受けること自体がダメということではありません。ただ、有り金全部を宝くじにすべて投資してしまうのと同じように、就活のすべてをその1社に賭けるのはあまりにもリスキーなので、お勧めしないということです。