週刊ダイヤモンド いよいよ開幕目前となった北京五輪。日本選手の活躍やワールドクラスの戦いなど、テレビ画面に釘付けになる日々が続きそうだ。しかし、少し視線を引いて、スポーツビジネスの観点からこの巨大イベントを眺めると、違った世界が浮かび上がる。

 巨額のマネーがスポーツを支配し、その裏で一喜一憂する企業の姿だ。今回の特集ではランキングをフル掲載して、スポーツにまつわるビジネスを徹底的に分解した。読後にはスポーツに対する視線が変わってくること必至。もちろん、北京五輪だけでなく、プロ野球をはじめスポーツ観戦が10倍、いや100倍楽しくなること請け合いだ。

 内容はスポーツの五輪、経営、収入に関する3部構成だ。

 まず北京五輪を開幕前から盛り上げた競技といえば、文句なく競泳だろう。その主役は着るだけでタイムが縮まるスピード社の“魔法の水着”だ。この騒動に象徴されるように、五輪はメーカーにとっても4年に1度のビッグイベント。いわば世界を相手にした巨大見本市だ。各社が開発に凌ぎを削り、1ミリ、0.01秒の短縮を競い合うが、この背景には世界の巨大スポーツメーカーの争いがある。じつは、この争いに中国メーカーが参入してきているのだ。一方の日本メーカーは、厳しい状況に置かれ、株式時価総額は欧米勢の10分の1、中国新興メーカーにさえ負けている。

 もっとも、技術力は劣らない日本勢。派手さはないが、誰も知らなかった日本製用具の活躍、観戦の際のポイントを紹介する。一例を挙げれば、ソフトボール。米国製の「飛ぶバット」に対して、7月にギリギリ開発にこぎつけたミズノの「飛ぶバット」。ソフトボールを観戦する際はバットの日米対決にも注目してほしい。

 次に経営は、プロ野球、Jリーグの各球団を徹底解剖。チームの企業価値、経営成績を全43チームにわたって分析した。ひいきのチームの経営成績をぜひチェックしてほしい。傾向としては、中央集権型のセ・リーグに対して地方分権型のパ・リーグ。Jリーグも含めて、最近は後者の元気がいい。また個々の球団には個性的な経営者が登場。西武ライオンズ、日本ハムファイターズ、アルビレックス新潟など、ユニークで成功している経営クローズアップした。

 またスポーツ別の収入比較、ランキング情報も満載。子どもにやらせたいスポーツを投資コストと回収の視点で分析してみた。話題のファイギュアスケートの場合、いくらかかるか、日常の練習時間などを密着取材。

 スポーツ選手は無理でも、球団職員やエージェントなど、スポーツ関連ビジネスはやまほどある。最近にわかに注目されだした、これらの職業の実態を紹介する。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 鈴木豪)