私たちは、お客様からの遺言内容のヒアリングから、相続税の計算、節税の提案、公証人の文案作成の取り次ぎまで、公正証書遺言の作成をワンストップで提供する「遺言書作成サービス」をご提供していますが、コロナ禍以降、このサービスを利用するお客様が増えていることからも、そうした意識の変化がうかがえます。

 新型コロナによって、死という嫌なことから逃避するのではなく、きちんと向き合うことが大事だと思うようになったのでしょう。こうした意識の変化は、今後も定着していくと私たちは見ています。

相続に影響をもたらす3つの分野「5LD」

 新型コロナによって、親子やきょうだいのつながりにも変化が生じてきました。

 変わったところと言うと、なかなか顔を合わせることができないことでしょう。同居している家族は別ですが、そうでない親族は、お盆や正月になっても集えない時期が長く続きました。

 メディアの多くは、親族が会えないことによる苦悩や残念さを取り上げましたが、むしろよい影響もあったのではないかと考えています。会いすぎると気に入らないところも出てくるものですが、会わないとかえって思いやりが出てくるものです。しかも、コロナ禍というつらい時期を共有することによって、お互いを思いやる気持ちが強くなってきたのではないでしょうか。もめない相続や贈与にとっては、よい環境が整ってきたような気がします。

 また、コロナ禍によって、私たちの日常生活自体も大きく変化しました。その変化はこれからも続くことでしょう。とくに、相続や贈与にも変化をもたらすであろう3つの分野について、私たちはそれらの頭文字をとって「5LD」と称しています。

「5」は5G(第5世代移動通信システム)の5。新型コロナの蔓延を防ぐために、私たちに求められたのは「密閉、密集、密接」という3密の回避でした。それが通信技術発展の追い風となり、今後の5Gの普及に伴って、テレワーク、テレビ会議、VR(仮想現実)はさらに進歩していくことでしょう。私たち税理士の仕事も、対面の比率が減って非接触でのやりとりが増えつつあります。この傾向は間違いなく続いていくことでしょう。