「L」は、ローカルリビングのL。テレワークの普及で地元に戻り、親と近居または同居する人も増えるかもしれません。家族の絆が改めて見直され、相続や贈与にいい効果が生まれるかもしれません。

「D」は、デジタルディバイド(デジタル格差)のDです。現在の70代以上の人は、デジタル機器が使えない人が多くいます。しかし、これからの時代は、デジタル機器を扱えないことには旅行にも行けませんし、商品を買うことすらできないこともあります。

 そこで、その「D」(格差)を埋めるべく、40代、50代の子どもが親のデジタル操作の手伝いをすることが求められます。それによって、親子あるいは孫とのコミュニケーションが活発になり、贈与が増えるかもしれません。こうした「5LD」が、コロナ後の相続と贈与を取り巻くポイントだと思っています。

「コロナ禍を転じて福となす」親子のコミュニケーション

 新型コロナで亡くなる方は、高齢者が大半でした。そのため、相続に関する話を先のばしにしているうちに、新型コロナで急に親御さんが亡くなるということがあちこちで起きてしまったのです。

 これまで、どれだけ財産があるのか、どのような保険に加入しているかなど、あえて触れないでいた話題について、元気なうちにはっきりとして聞いておくべきだと、おそらく多くの人が感じたことでしょう。それだけではありません。銀行口座番号、暗証番号、金庫のカギなど、生きているうちに親から聞いておかないと極めて面倒です。急に発症して面会もできないことになったら、聞く余裕もありません。

 とはいえ、元気な親に対して、だしぬけに「銀行口座は? 金庫のカギは?」とは聞きにくいものですし、無理やり聞くのは親の機嫌を損ねることにつながり、好ましくありません。

 そんなときにお勧めしたいのが、親子でお互いに自分の情報を交換することです。