セールスフォースの成長を支える、働きがい向上への「貢献」の精神とはセールスフォース・ジャパンのオンライン入社式の模様

セールスフォース・ジャパンの働き方の根底には、「人や社会への貢献」の精神が見える。それが社員の「働きがい」と強くリンクしているのだ。OpenWorkが実施した『社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2022」』では4位と、先進的な働き方で知られる外資系企業の中でも上位に位置している。同社に現場での取り組みについて聞いた。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部副編集長 小尾拓也)

社員の働きやすさを支える
「5つのコアバリュー」とは

 セールスフォース・ドットコムは、CRM(顧客関係管理)ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスを提供し、急成長を遂げた企業だ。その日本法人であるセールスフォース・ジャパンは、「働きがい」の高さで知られている。

 同社において象徴的なのが、企業経営の根本理念として掲げる「5つのコアバリュー」の精神が、働き方に関する全ての施策の根底に流れていることだ。その5つとは、「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」「サステナビリティ」である。

 以前のIT業界では、製品の売り切り型のビジネスモデルが主流だった。その中でセールスフォースは、クラウド上においてSaaS形態(必要な機能を必要な分だけ利用できる仕組み)のサービスを提供するビジネスを開拓した。

 顧客がサービスを所有するのではなく、いつ何時でも自由に継続・中止を決められるサブスクリプション方式のビジネスモデルでは、顧客価値を最大限に高め続けることが必須課題となる。そこから「人や社会への貢献」という意識が強く感じられるコアバリューが生まれたのだ。

 これは、同社の創業者で米国本社の共同CEOであるマーク・ベニオフ氏が創業時に掲げた、「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という理念に通じている。

「社員が働きやすい環境を整えることで、公私ともに充実した生活を送れるようになれば、会社へのエンゲージメントが高まり、結果的に顧客にも質の高いサービスを提供できる」(常務執行役員・人事本部長の鈴木雅則氏)。同社にとって、エンプロイーサクセス(従業員の成功)とカスタマーサクセス(顧客の成功)は同義である。だからこそ同社は、社員が自分らしくやりがいを感じて働けるよう、手厚い「投資」を行うのである。