同社には人事部という部署はなく、人事の機能は『エンプロイーサクセス』というチームが担当している。文字通り「社員の成功を後押ししていく」という意味であり、その本気度がうかがえる。
実際にコアバリューは、社員に自社の企業理念・文化を浸透させるため、あらゆる制度に反映されている。その取り組みを詳しく見てみよう。
なぜボランティア活動を重視?
平等の意識が根付く「1-1-1モデル」
まず「平等」に関してだが、全ての関係者にとって平等な環境づくりを目指すために行われているのが、「1-1-1モデル」と呼ばれる社会貢献活動を促す取り組みである。これは、社員が就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を活用して、社会に還元する活動を行うというものだ。有給休暇とは別に、1年間に最大7日間(56時間)をボランティア活動に充てることができる。
各部署から有志が集まって運営される社会貢献委員会が指揮を執り、社内のサイト上でボランティア活動紹介の一覧ページを設けたり、非営利団体への寄付の一部を会社がサポートしたりするなど、社員がボランティア活動に取り組みやすくしている。
一見本業とは関係なさそうな取り組みではあるが、「ボランティア活動と社員のエンゲージメント向上には相関関係があることが調査からわかっている。入社の志望動機としてボランティア活動を挙げる人も多い」(鈴木氏)という。同社においてボランティア活動は、仕事のモチベーションアップに大きく貢献しているのだ。
また「平等」に関しては、男女間・人種間で採用・賃金・昇進格差が生じないよう、調査を毎年行っており、その基準はグローバルで統一されている。
経営と現場を信頼で結ぶ
目標設定・人事評価の仕組み
次に「信頼」について。このコアバリューが強く投影されているのは、目標設定や人事評価の仕組みである。業務のゴール設定や業績評価はトップダウンで行われるが、社員の声にもきちんと耳を傾けている。「何よりも重視しているのは、情報の透明性を実現し、経営と現場の乖離をできるだけ少なくすること」(鈴木氏)だという。