同社には「全社員がリーダーであれ」という標語の下、それぞれの階層で求められているリーダー特性を示すリーダーシップ・コンピテンシー・モデルがあるが、リーダーシップのレベルごとに社員が集合研修を受けられる場もある。「外資系といってもプロの仕事を求めるばかりでなく、成長支援のツールや仕組みは徹底的にサポートする」(鈴木氏)。

コロナ禍でこれまで以上に
サステナブルな働き方を追求

 さらに、社員の日々の働き方においては「サステナビリティ」(持続可能性)が重視されているといえる。同社は2016年、週2日間を上限にいち早くリモートワークを可能にし、フレックスタイム制も導入した。さらにコロナ禍では、リモートワークを徹底する傍ら業務の生産性を維持するため、在宅勤務に必要な環境を整えるための手当てを支給。子どもの世話など、在宅期間中に起きる家庭の事情に対応するため、子どもの看護休暇規則、育児給付金制度、家族介護休業制度を拡充させた。

 足もとでは、利便性の高さからオフィスに急速に普及しているチームコミュニケーションツール「Slack」を米国本社が買収したのを機に、自社の現場でも同サービスをフル活用し、よりハイブリッドな働き方を目指していくという。

 社員のキャリアプランを長期的な視野でサポートするための取り組みもある。たとえば、社員が希望して会社に承認されれば、副業的な働き方ができる。これまでも、非営利組織のボードメンバーになったり、教育機関で教鞭を執ったり、プロのアイスホッケー選手と業務を両立させたりと、自由な働き方をしている社員は少なくない。

多様な人材が増え続ける中
コアバリューの浸透が重要に

 ビジネスが急拡大しているセールスフォースの人員は、今やグローバルで7万人規模。日本法人においても、2024年を目標にしていた3500人体制を2年前倒しで達成した。離職率は外資系IT企業ではかなり低いというが、さまざまなバックグラウンドを持つ人が増えるに従い、自社のコアバリューをさらに深く浸透させることが課題となる。

「一見、外資系のイメージとは違うかもしれないが、セールスフォースには助け合いや、チームとして勝利を目指し、祝う企業文化がある。新たに入ってくる人々が、自社で素晴らしい体験をしてくれるよう、これからもバリューを伝える場をつくっていきたい」(鈴木氏)