ダイエットカウンセリングをしていて驚かされるのは、「こうと決めたことは徹底してやる」「結果が出るのであれば、毎回同じものを食べていても気にならない」という、男性に多く見られるストイックな姿勢だ。これが、女性となると、「でも、時々は甘いものを食べてもいいですか?」「毎回同じだと飽きるんですけど」「生理前は食欲が増すんです」というふうに、サポートするべきところが格段に幅広くなる。
ただ、男性に多く見られる見事なまでのストイックさは、時に、痛い結果を招くこともある。頑張り方が一直線ゆえ、間違った方向に進んでしまったときのダメージが大きくなってしまうのだ。「今年こそはダイエットをしよう!」と思ってみたりする年初め。今回は、ダイエットの“あるある”落とし穴について話していきたい。
カロリーだけにこだわっていないか
最近、気になるのは「要はさ、摂取したカロリーが消費カロリーよりも多くならなければ、痩せるでしょ」とカロリーチェックを怠らない理数系男子が増えていること。確かに、カロリーは過剰摂取しないにこしたことはないが、カロリーだけに目を向けていると、相当痛い目に合う。たとえば、「消費カロリーが1400kcalくらいだから摂取カロリーを1200kcalくらいにしようかな」なんて考えたとする。朝はゼリー飲料で100kcal、昼はそばで300kcal、夜は飲み会でビール2杯400kcal+刺身とポテトサラダで300kcalくらい。こんな生活をしていたら、最初の1ヵ月で5キロほど落ちた。よしよしこの調子、と思って続けていたけれど、それ以降、体重は微動だにしない。
こんなふうに、頑張っているのになかなか体重が落ちないとき「何食べても太るんです」「痩せない体質なんです」というクライアントは非常に多いが、実際は、栄養失調で代謝が落ちて太りやすくなっていることがほとんどだ。人間は、カロリーを満たせば良いわけではない。そして、カロリーを抑えれば痩せるわけでもない。痩せたい、と思ったら、痩せるための栄養素が必要で、それには、栄養をバランスよく満たすことが不可欠なのだ。
ダイエットドリンクやカレー…
“噛まない食べ物”に潜む問題点
そうはいっても、料理をする時間もないし、決められていると楽だし、栄養バランスが良さそうだし…ということで手を出しやすいダイエットドリンク。これは、生まれながらにして食欲、性欲、睡眠欲、という三大欲求を持つ人間には、非常に難しいダイエットアイテムだと思う。そこに「おいしい」「良い香り」という感動がないのは仕方ないとしても、“噛む”という行為が存在しないことが、ダイエットドリンクの最大のネックポイントだろう。食事において、噛む、ということは、セロトニンが分泌され、食事の満足度を高めるという重要な役割を担っているのだ。だから、その行為がない食べ方では、カロリーはとっていても満足感には程遠く、欲求不満状態が続くストレスからリバウンドをしてしまったりするのだ。