むしろ、「量で勝負」するのが正しい姿勢です。

 ここで「なんだ、やっぱり量か…」なんてがっかりする方もいらっしゃるかと思いますが、待ってください。じつはかの有名な作曲家たちも同じように「量で勝負」しているのです。

 ニューヨーク市立大学のアーロン・コズベルトは、65名の著名な古典作曲家の1万5657曲を分析してみました。

 5年ごとのスパンで区切ってみると、ある作曲家が、もっともたくさん曲を書いている時期に、名曲も生まれやすいことがわかりました。とにかく大量に創作することによって、質の高い作品もついでに生まれてくる、ということです。

 モーツァルトは35歳で死去するまでに600曲、ベートーベンは生涯で650曲、バッハは1000曲以上もの曲を作りましたが、それらすべてが名曲かというと、そんなこともありません。つまらない駄作は、いくらでもあります。

 コズベルトによると、名曲として高く評価されているのは、どの作曲家をとっても数えるほどだそうです。とにかく曲を作りまくって、運よくそのうちのいくつかが評価された、というのが実情です。

 ピカソの絵は、高い評価を受けてはいるものの、ピカソは生涯で8万点以上もの絵を描いたと言われています。それだけ膨大な量の絵を描けば、その中のいくつかが評価されてもおかしくはありませんよね。

 つまり、いきなり質の高さを求めてはいけない、ということです。

 質などどうでもいいのであって、とにかく量。

 この原理を守って仕事をしましょう。とにかくたくさんの商品を作っていれば、そのうちいくつかは評価してもらえるだろう、と考えるのがよいのです。企画でもそうで、質の高いプランを1つだけ立てようとするよりは、もうとにかくアイデアを出しまくって、何十、何百ものプランを練り上げて「量で勝負」するほうがうまくいきます。とにかく量をこなしていれば、必ずその中からオリジナリティの高いものが出てきます。それまで飽きずに作りつづけることがポイントだといえるでしょう。