鄒衍の陰陽五行説と
アリストテレスの4性質説との共通点

 鄒衍(BC305-BC240)が説いた五行説は陰と陽の2大元気(元素)が交わることで、5元素(木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい))が生まれる、そして五気と呼ばれる5元素が同調したり反撥したりしながら、世界を動かしている、という教えです。

 五行の運動は相生(そうしょう)と相剋に分類されます。

 相生は五気が木火土金水の順送りに相手を生み出していくプラスの関係です。

●木生火(もくしょうか)(木と木を擦り合せれば火が生まれる)
●火生土(かしょうど)(物が燃えて灰(土)が生まれる)
●土生金(どしょうこん)(鉱物の多くは土中に蔵されている)
●金生水(こんしょうすい)(空気中の湿度が高いと金属の表面に水滴がつく)
●水生木(すいしょうもく)(すべての樹木は水によって生きている)

 逆に相剋は五気が一つおきに相手を剋していく〈負かす、犯す〉マイナスの関係です。

●木剋土(もっこくど)(木は根を地中に張って養分を奪う)
●土剋水(どこくすい)(土は水を塞(せ)き止めて勢力を弱める)
●水剋火(すいこくか)(水は火を消す)
●火剋金(かこくこん)(金属は固くて強いが火熱に溶ける)
●金剋木(こんこくもく)(木は金属の刃で切られる)

 相生も相剋も屁理屈のようなものですが、筋は通っていますよね。

 この五行の相関関係をうまく組み合わせて、色とか方角とか季節とか、あるいは人間の身体のどこに当たるかなど、すべてを当てはめてしまうのが陰陽五行説です。

 ずいぶん昔の話ですが、実は現代の日本語にも影響が残っています。

「陰陽五行説と配当表」と呼ばれる、木火土金水が宇宙の万象といかなる関係を持つかを図式化した図表があります。その一部を紹介します(→下記参照)。

 この表を見ただけでも、北原白秋の名前や白虎隊や青春という言葉が、陰陽五行説に由来していることがわかります。