環境が変わっていることを意識するべき
―― 現代のビジネスにおいて意識すべきことは何でしょうか。
佐俣 僕が感じているのは、今若い子が戦う環境と、僕らが戦った時の環境が全然違うということです。
以前は「別のやり方」や「自分らしいやり方」が強い、個性的な年配の起業家がたくさんいました。
今は、僕らより10歳くらい下の若い世代で「優秀なやり方」が強い起業家が多いんです。マッキンゼー出身の方もどんどん起業していますし。
インターネット業界の隙間も狭くなって、「優等生案」や「オリジナル案」の難易度が上がっている感じがしますね。
松本 僕はOSをアップデートしていくのが大事だと思っています。
たとえば「まだWindows7を使っている」ような、10年前のテクノロジーを使う企業が現代で成長を続けるのは厳しいですよね。
テクノロジーと同様に、10年前のマネジメントを今使ってはいけないと思います。それどころか、コロナ前と今では、マネジメントのOSを変えないといけない。
時代が変わると、競争環境も、市場も、顧客も変わるので、過去うまくいっていたOSも古くなります。しかし、成功体験を引きずって学習しないままだと、昔のOSを使い続けてしまうんです。
ラクスル株式会社代表取締役社長CEO
1984年富山県生まれ。慶應義塾大学卒業。A.T.カーニーに入社し、コスト削減プロジェクトに従事する中で、印刷費が最もコスト削減率が高いことに気づき、印刷業界に興味を持つ。業界の革新を志し、2009年にラクスル株式会社を設立。2013年より印刷機の非稼働時間を活用した印刷のEコマース事業「ラクスル」を提供。また、2015年12月より物流のプラットフォーム「ハコベル」を開始し2020年4月からは広告の新規事業「ノバセル」、2021年9月からはコーポレートITのプラットフォーム「ジョーシス」を展開。「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」をビジョンに巨大な既存産業にインターネットを持ち込み、産業構造の変革を行う。
佐俣 10年前の「優れたやり方」を導入し続けるとヤバいですよね。
「自分らしいやり方」は自分のことなのでアップデートしやすいけど、「優れたやり方」は10年前のものにもかかわらず、採用されがちかもしれません。
平尾 OSをアップデートするために、何を見て勉強されていますか?
松本 「この10年で一番成長した会社」から学ぶのがいいと思っています。Google、Amazon、Netflixなどから学ぶべきことは、やはり多いです。
ビジネスにおいて、日本の事例だけを見ているとそこでインプットした情報が最大値になってしまうので。
海外の事例も含め、「世界で一番うまくいっている事例」をとにかく調べるのがいいんじゃないかなと、僕は思っています。