これは、「今後HPVワクチンが普及していけばほぼほぼ世界から根絶できると見込まれている子宮頸がん対策の足を引っ張るな」という世界からの意思表示でしょう。

 例えば、現にオーストラリアの統計では2028年までに新しい子宮頸がんの患者がいなくなる、というシミュレーションもされている程です(※1)

「HPVワクチン後進国」となってしまい、子宮頸がん患者の増加が懸念されていた日本ですが、さまざまな人の尽力によりようやく大きな一歩を踏み出すことができました。今後の接種率の上昇も期待されています。

ポイントは「性行為の前に打つ」

 HPVワクチンにおいて最も重要なのは性行為によって感染する「前」に打つことです。そのため、初交より前の接種が理想であり、現在日本では、小学校6年生から高校1年生までが公費による無料の定期接種が行われています。

 今回の積極的勧奨の再開に伴って、積極的勧奨が行われていない「空白の期間」に受けることができなかった平成9年度~平成17年度生まれの女性を対象に、現在は期間限定で、公費で接種できる体制が整えられています(過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方が対象)

 定期接種期間を過ぎてしまったとしても、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では26歳まではHPVワクチン接種は推奨されていますし、効果としては45歳までは証明されています。

 個々の性に関するライフスタイルに合わせて、新しいパートナーができたときなど、感染するリスクはどうしても生じてきます。そういった状況が起こりうる場合は、定期接種期間を過ぎたとしても、接種を検討しても良いでしょう。