いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

日本でAmazonに勝てる意外な組織とは?Photo: Adobe Stock

日本でAmazonに勝てるのは?

あなたは、日本でAmazonに勝てるところがあると思いますか?

ビジネスのことを知っている人ほど、「それは難しいだろう」と考えるのではないかと思います。

しかし実は、勝てる可能性があるところが1つだけあります。それは「コープ(日本生活協同組合連合会・生協)」です。

あなたはコープの宅配を使ったことがあるでしょうか?

若いビジネスパーソンの利用はあまり多くないかもしれませんが、「実家で使っていた」人はそこそこいそうです。コープに加入すると家にチラシやカタログが届き、それを見て注文すると、週に1回など定期的に注文品を届けてくれます。Amazonのように「注文してすぐ届く」というわけにはいきませんが、それほど急いで買い物をする必要がなく、定期的に届けてもらえるコープで十分という人は少なくないでしょう。配達員がいつもだいたい同じ人なので、高齢者や女性には安心感もあります。

コープの強みは、まず世帯加入率です。何と全国の世帯加入率が4割近くにのぼるというデータもあります。

また、自前の物流網を持っていることにも注目すべきでしょう。いっとき日本の物流網がパンクしかけて物流コストが急増したときも、コープは自前のトラックを持ちドライバーも確保しているので困ることはありませんでした。

コープと聞くと「いまだに紙のカタログや注文用紙を使っている古いサービス」というイメージを持っている人も多いのではないかと思います。しかし、これだけの加入率と物流網があるのですから、活用の仕方しだいでは日本市場でAmazonを抜くこともできるのではないかと思います。

現実的には、コープは株式会社ではなく、各地域のコープを簡単に合併できないという問題があります。これほどのネットワークがあるのですから、すべてのコープをM&Aで1つにすれば効率性などの面でメリットが大きいだろうと思うのですが、なかなかそうはいきません。

しかしコープのケースを考えると、古くからある日本のネットワークを見直すことでAmazonにも勝てるような枠組みをつくれるのではないかという気もします。

「どうせAmazonになんて勝てない」と諦めるのではなく、思考を柔軟にして発想を広げていくことが大切です。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)