いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

限られた時間しかない学生生活を有効に使う人の考え方Photo: Adobe Stock

完成度2割でアウトプットするアジャイル成功法

学生時代は限られた時間しかないという前提で考えると、起業したいと考える学生がビジネスコンテストに参加することは手放しに賛成できません。参加するとなれば、ビジネスのアイデアを資料にまとめるだけで相当の時間が取られるからです。

それだけの時間をつぎ込める学生、たとえば「休学してでも起業しよう」という気概のある学生であればビジコンも選択肢の1つかもしれませんが、家庭の事情などで「休学なんてできない」という学生もいます。

ですから東大金融研究会では、起業したいというメンバーがいれば一刻も早くビジネスを立ち上げてもらいます。

最初にやってもらうのは、とにかく4、5ページでいいのでビジネスのアイデアをまとめてプレゼンすることです。

ありがたいことに東大金融研究会では、カカクコムやクックパッドのトップを歴任し、現在はくふうカンパニーの取締役を務める穐田誉輝さん、東証プライム市場上場企業インソースの創業経営者である舟橋孝之さんなどが学生たちの壁打ち相手になってくれ、場合によっては出資してくれることもあります。

もちろん、アイデアが生煮えの状態でプレゼンすればあちこち叩かれますが、叩かれながらアイデアを変えたり磨いたりしていけばよいのです。そもそもビジネスのことをよく知らない学生同士が一生懸命考えていても、目指す完成度にはいつまでたっても到達しないでしょう。

それなら完成度2割でもいいのでとにかくアウトプットを優先すべきです。アウトプットして周囲から見える形にしさえすれば、経験のある先輩たちが助けてくれます。

こうしたアジャイル(機敏)なやり方のほうが、スピード感を持って勝負できるはずです。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)