これはホンダにとって、かつての“自前路線”からの決別であり、四輪事業生き残りへの“決意表明”でもある。

 ホンダはここ数年、四輪事業は収益低下で二輪事業に“おんぶに抱っこ”の業績が続き、世界内外の工場閉鎖や従業員の早期退職を実施するなど厳しい情勢にある。三部社長としても、主力である四輪事業の本格回復と将来への生き残りの方策を明確にして「ホンダらしさ」の復活にかけようとする気持ちが強い。

 ホンダとGMとの関係は、13年に燃料電池のシステムで提携したのがきっかけだ。17年に米国に燃料電池の合弁工場が新設されたほか、18年には、GMによるバッテリーモジュールの開発にもホンダは参加している。20年には、24年上旬発売予定のホンダの大型SUVタイプのEV「プロローグ」と、その後に続くアキュラブランド初となるSUVのEVモデル2車種の共同開発計画を発表していた。

 また、両社の提携関係は、電動化戦略(FCEV・BEV)にとどまらず、自動運転領域でも深化している。18年には、ホンダがGMの自動運転車部門のGMクルーズに合計27億5000万ドルもの巨費を投資する方針を打ち出した。クルーズとは継続的な協業関係を構築しており、無人配車サービスやデリバリーサービス専用の完全運転車両の「クルーズオリジン」の共同開発にも取り組んでいる。

 今回のEV協業の拡大は、従来北米限定とされていたホンダ・GMの提携関係を世界に広げて、電動車シフトを加速するものだ。