内田誠会見で戦略を語る日産の内田誠社長 Photo:NISSAN

そろって赤字転落した3社連合
業績回復に兆し

 仏ルノー、日産自動車、三菱自動車による日仏3社アライアンスは、2030年に向けた電動化への方向とロードマップを1月27日に発表した。

 この3社連合による会見や発表は久しぶりのことだが、同会見には、パリからアライアンスオペレーティングボード議長でルノー・グループ会長兼日産取締役会副議長のJ・Dスナール氏に加え、ルノーCEOのルカ・デメオ氏、ルノー副CEO兼CFOのクロチルド・デルボス氏が出席。日本からは内田誠日産CEO、アシュワニ・グプタ日産COOと加藤隆雄三菱自CEOが出席し、日仏同時中継を行うなど、非常に手の込んだプレゼンとなった。

 この日仏3社連合は、かつてはカルロス・ゴーン元会長の強力なカリスマ性とリーダーシップの下で世界覇権を狙う拡大戦略を推進したが、ゴーン元会長の18年11月の突然の逮捕や、その後の業績悪化などで苦戦を強いられている。日産のみならず、ルノーと三菱自も業績不振に陥り、3社ともに赤字転落という憂き目に遭っている。2018年以降、アライアンスには暗雲が立ち込めており、3社ともに収益性の回復が経営の最優先課題となってきた。

 とりわけ、3社連合の軸となる日産は、ゴーン失脚後の経営陣の混乱や業績の悪化から再建策に奔走してきた。日産の業績黒字化は、親会社である仏ルノーの業績に反映されるとともに、協業を行う子会社の三菱自の業績回復の動向にも影響を与える。

 20年には、事業構造改革を中心とする新中計「NISSAN NEXT」を策定、内田CEO・グプタCOO体制の下、毀損(きそん)した日産ブランドと収益バランスの立て直しを進めてきた。ようやく今期(22年3月期)には、業績の黒字転換の見通しを示せるまでに回復してきたところだ。

 日仏連合3社の事業の最構築が予想以上に急ピッチで進み、次の成長フェーズに入る中、グローバルの自動車の電動化トレンドもあり、今回のアライアンスでの電動車ロードマップの発表に至ったということだ。

 その発表の中身とはどのようなものなのか。