ホンダとGMで、世界規模での生産を可能にする設計を検討し、全固体電池など次世代バッテリーに関する協業の深化についても検討することになる。これまでの提携とは一段と異なるステージに突入するのだ。

 ホンダのみならず、提携の拡大はGMにとっても“背水の陣”で臨んでいるところだろう。

 かつてGMは、世界のビッグワンとして世界自動車産業をリードしていたものの、08年のリーマンショックで経営破綻に追い込まれた。その後、米連邦政府による救済から立ち直る中で、「量から質への経営転換」を思い切って進めてきた経緯がある。

 GMたたき上げのバーラCEOは、仏プジョーグループ(現ステランティス)への独オペルの売却や、赤字続きの欧州事業からの撤退などを断行している。ロシアやインド、タイなどの事業も打ち切った。こうした不採算事業の整理や大胆なリストラによって利益率は大幅に向上し、業績が改善している。

 一方で世界販売台数では、16年の1000万台から、21年には629万台と4割近く減らしており、シェアの点では韓国・現代自動車に抜かれ世界5位に後退している。

 それでも、EVや自動運転など、ソフトウエア戦略への投資にかける熱意は高い。

 その意味で、ホンダとGMの内情や方向は、相通じるものがあるともいえよう。かつて燃料電池システムで提携して、初めてGMと手を組んだ感想を「やはりGMだね。懐が深い」と語ってくれたのが当時のホンダトップだった。