JR貨物の真貝康一社長に現況や2022年度の事業計画、長期ビジョン実現に向けた進捗などを聞いたインタビューの後編をお届けする。2月に初めて実施したグリーンボンドの発行は、JR貨物の将来性について機関投資家がどのように見ているかを占うという点で、重要な“試金石”になったと語る。(インタビュアー/西村旦・カーゴニュース編集長)

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グリーンボンド発行は
重要な“試金石”

――「JR貨物グループ長期ビジョン2030」の進捗状況についてお伺いします。

 22年度の事業計画と重複しますが、「物流生産性の向上」「安全・安心な物流サービス」「グリーン社会の実現」「地域の活性化」という長期ビジョンで掲げた“4つの価値”を実現していく取り組みを、厳しい収支状況の中で積極的に実施しています。

 さまざまな施策が進んでいますが、22年度に実現する大きな取り組みのひとつが、5月に竣工する「DPL札幌レールゲート」と7月に竣工する「東京レールゲートEAST」の2つの大型物流施設です。レールゲートシリーズとしては、先に稼働して満床となっている「東京レールゲートWEST」に続くもので、当社が進める総合物流戦略の一環として「物流生産性の向上」という価値実現につながるものです。

東京レールゲート全景東京レールゲート全景 拡大画像表示

 また、「地域の活性化」では、日本山村硝子様との共同事業として福井県に植物工場の大型新工場を建設しており、22年3月に竣工し、翌4月から稼働を開始する予定です。収益面での貢献はもう少し先になりますが、JR貨物にとってこれまでなかった新たな取り組みであり、ある意味で「変化」の象徴だと言えると思います。

――確かに植物工場事業への進出は非常に新鮮に感じますし、「地域の活性化」に加えて「グリーン社会の実現」にも資する取り組みです。

「グリーン社会の実現」という観点では、2月に当社として初めて実施したグリーンボンドの発行は、当社の今後にとって非常に大きな意味を持っていると考えています。もちろん、資金調達という面からも大事なのですが、それ以上にJR貨物の将来性について機関投資家がどのように見ているかを占うという点でとても重要な“試金石”でもありました。