外出する人たちの中にはオミクロン株の危険性をそこそこ心配している人も一定数いて、用事が終わればそれなりに早く帰ってしまう。本来であれば終電ぎりぎりまで飲んで騒いでという需要がある歓迎会のシーズンでも、午後10時を過ぎると繁華街の賑わいがなんとなくどんより化してしまいます。
一歩引いて考えてみるとこれは仕方がないことで、オミクロン株をきっかけに医療から経済へと重点を切り替える中で、当然起きると予測されていた問題そのものです。
私がこの局面で重要だと思うことは、「コロナの脅威がわかったうえで経済拡大に向けて踊らされること」だと思います。コロナ禍の本質には大きな変化はありません。とはいえ、これまでのように医療にばかり重点を置いていると、そろそろ経済に限界点が来てしまう。そうならないように国も人出が増えることを容認している。
そのことがもう少し伝われば、混雑し始めた町で飛沫を飛ばす迂闊(うかつ)な人たちの数は減るはずです。それが実効再生産数の減少につながれば、第6波の収束も現実になり、結果として、経済のどんより化の流れに逆らうことができるはずです。
「コロナはもう怖くないと思う気持ち」はわからないでもないです。しかし、その「安心」が、まわりまわって日本経済に悪影響を及ぼしてしまうという点が、本当の怖いところなのです。これも同時に理解してほしいというのが、今回のお話でした。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)